SAN JOSE通信Vol.17

 

突然ですが、パニックフォン・・・・ご存知ですか?こちらの車にはキーレスエントリーであれば、必ず付いている装置です。キーに「lock」「unlock」のボタン以外に、この「パニックフォン」の赤いボタンが付いているのです。何か危険な事が起こり、誰かにそれを知らせたいときにこのボタンを押します。するとビーッビーッと非常に大きく、高音で癇に障る音が30秒間鳴り響きます。よく何かの拍子に押してしまい、慌てます。そういう時は、もう一度このボタンを押すと、すぐに止まります。分かっているのだけど、慌て者の私はパニックになってしまうのです。その位音が大きいの。どこの駐車場でも、間違って押しちゃった音をよく耳にするのですが・・・。おかげでその音が聞こえても、「また誰かやったのね・・・」位にしか思わず、気にも止めないようになりました。他の人も同じです。これでは本当に何かあった時にも、誰も来てくれそうにありませんね。

 

とうとう、金曜日でプレキンダーが終わりました。この最後の週は行事が盛りだくさんでした。Pirate day(海賊ごっこをする日、宝探しゲームをしたそうです)Beach day(皆でサングラスをかけて太陽の観察をし、その大切さを学んだ)Water day(水着を着てスプリンクラーのシャワーの中を駆け回る)など。そしてこの最後の金曜日は、親がお迎えの時間よりも1時間早くクラスに行き、子供達の歌やダンスを一緒に楽しみましょう!という内容でした。普段旦が歌ったり踊ったりしてくれる曲がいまいち分からなかったので、この日を楽しみにしていました。しっかりとデジカメの充電もしたし・・・。

 

2時ちょっと前、「さて行きましょうか」と言と支度をして車に乗ろうとしました。するとパニックフォンが鳴り出したのです。お約束どおり慌てる私。キーの色々なボタンを押しているうちに、音が止まらなくなってしまいました。実はこのSIENNA、購入時にオプションとしてvehicle security systemをつけていたのです。これは一旦鍵をかけると、何者かがドアをこじ開けようとした時や半ドアのときなど、何か異常があるときにアラームが鳴るシステムです。最初はただのパニックフォンだったのが、私があちこちいじっているうちに本格的にsecurity systemが作動してしまったのです。一旦音が止まっても、ドアを開けようとすると、容赦なくアラームが鳴り響きます。ガレージの中だから余計に響く!会が始まる2時は過ぎるし、車は鳴りっぱなしだし・・・私のほうがパニックでした。とにかく藁をもすがる気持ちでパパに電話。パパは「マニュアルが車の中にあるから取ってきなさい」と冷静です。ドキドキしながら、また鳴り出すのを覚悟で車のダッシュボードからマニュアルをかき出す。でも頭の中は「早く旦の所に行かなくては・・・」という焦りでいっぱいで、全然マニュアルの英文が入ってこない。とりあえず先生に電話をして事情を話し、遅れる旨を伝えました。もう2時20分。もうここで我慢できなくなり、「私、もう歩いて行ってくる!」と車放棄宣言。言を小脇に抱えて園までもうダッシュ。この日に限って一番の暑さで、汗をダラダラかきながら走りました。2時35分到着。。。

 

ククラスに駆け込むと、先生と目が合ってOKサイン出し合う。子供達はビデオをまわす親たちに見守られながら、ダンスをしていました。旦を探すと、困った様な表情をうかべ、頬を紅潮させて上目遣いに私を探している様子。私を見つけても、またうつ向いてしまいます。そのダンスが最後の演目だったらしく、20分も早くお開きになってしまいました。その後はそれぞれ仲が良いもの同士で写真を撮りあったりしましたが、その間もずっと複雑そうな表情の旦でした。こうやって見ると結構旦は小さいな・・・


Lynne(個人面談をしてくださいました。よく笑うほがらかな先生。最初に旦のsharingをほめてくださったのもこの方。)                 

お世話になったTEACHERS

Joyce(ほんの少しだけ日本語がわかる?という先生。一番若い為か、母親との連絡窓口っぽかった。初めての登園日に私の質問に丁寧に答えてくださいました)

Nancy(お別れのときにCan I hug you?と言って思いっきり旦を抱きしめてくださいました。言にも色々教えてくださいました。)


また歩いての帰宅。その道すがら旦は「ママ、旦くんね、ずっと早くママが来ますようにって神様にお願いしてたんだ。来なくて心配だったの。だからニコニコ笑えなかったんだよ。笑ってって言われたって、笑えなかったよ・・・。全部ママのせいだからね。」とぽつり。胸がキューン、鼻がつーんと痛みました。本当に最後の最後で可愛そうなことしてしまいました。暑い中家まで歩いて帰らなくてはいけなかったので、いつもの様に園庭で遊ぶ事も出来なかったし。Williamも寂しそうに見送っていました。

帰宅するとパパが一旦会社から戻ってきてくれていて、マニュアルを読みながら色々システムの解除法を研究している所でした。元気がなかった旦も、大好きなパパが思いがけずいて、おおはしゃぎ。不幸中の幸いでした。結局何度もアラームを鳴らしながら実験を繰り返しましたが調子が悪く、今もシステム自体をOFFにしたまま。でも、本当にパパがいてくれて良かった。しばらくキーのボタンを押すのが怖い。しかし、あれだけ鳴り続けていても、ついに誰もやってこなかったわぁ。

 

ついでに、我が家の左となりは典型的なアメリカンファミリー。玄関が離れているので、今までに3回ほどしか会ったことがない。いつも「Hi! ICHIHO!」と声をかけてくれるのに、何故か名前が覚えられない私・・・。何度もブライアン・ブライアン・・・・と念仏のように唱えているのですが、本人を前にするとアルバートソンっという違う名前が浮かんできてしまい、困ったもの。野球選手にもいる有名な名前なのになぁ。しかもアルバートソンはスーパーの名前・・・。そんなこんなで、このプレキンダーからの帰宅時に久々にブライアンに声をかけられた私は、またもや名前を呼べませんでした。しかし金曜日なのに、どうして家にいたのかしら?パパ曰く、金曜日は皆帰宅が早いとか。確かに金曜日は近所でもホームパーティーをしている所が多く、通りはおいしい匂いが漂っていたりするのです。

 

↑一旦帰宅したパパが会社に戻ろうとした時、行かせまいと必死にドアをふさぐ二人

翌日は、パパの会社の知人宅にお呼ばれしました。Los Gatosの一戸建に住んでいらっしゃいます。私達よりほんの少し前に日本から赴任していらした方で、お子さんは旦と同じ年の女の子。すぐに子供達は仲良く遊び始めましたが、しばらくして彼女の泣き声がしました。慌ててパパが駆けつけると、「旦くんがクレヨンでおでこをゴンッてした。もう遊んであげない。」と。旦は何度もごめんね、ごめんねと繰り返しますが許してもらえません。旦も理由があってつついたようなのですが、やっぱり女の子には手を出してはいけません。私達は旦を叱りましたが、もうどんなに旦が反省しても、いい子いい子となでても、謝っても泣き止みません。旦も目にいっぱい涙をためて一生懸命謝っていました。段々私達もどうすればいいのか分からなくなってしまい、途方にくれてしまいました。日本で幼稚園に行っていたとはいえ、同い年の女の子と1対1で遊んだことがない旦、私達も同じです。すると旦が「あっそうだ、いいこと思いついた!I’m sorry.って言えばいいんだ!」と言いました。結局はそれも解決にはならなかったのですが、ここでの生活から思いついたのでしょう、そんなことをいう旦をちょっと愛しいと思ってしまったのです。最後は女の子のパパがうまくまとめてくれて、また仲良く遊び始めました。そのまま9時半ごろまでおじゃまし、美味しい手料理をご馳走になりました。

「見てーっお魚よー!すげー!」と叫びまくる言は目立ちまくり・・・。

 

翌日曜日はMontereyに行きました。ここからは2時間弱、というちょっとしたロングドライブ。Montereyは5年前にパパが3ヶ月の長期出張中に、たまたま出張に来ていたパパの弟さんと一緒に週末を利用して来たことがある場所です。ここはスタインベックの「缶詰横丁」「愉しい木曜日」などで有名です。まずはMonterey bay特有の動植物にスポットをあてたモントレー水族館へ行きました(入場制限をしていたのか、1時間も並びました)。前回も気に入ったくらげのコーナーが、やはり綺麗で楽しかったです。あとはやはり9メートルという世界1の高さを誇る水槽。容量は100万リットルを超すそうです。大型海草Kelpの間を泳ぐたくさんの魚たち、そしてマンボーが右に左に・・・・ゆーらゆら。一瞬何もかも忘れますね。閉館の6時までみっちりいてしまいました。その後はFisherman’s Wharfへ。ここのFisherman’s Wharfは、サンフランシスコのそれよりも随分とこじんまりとしています。ここでcrab(23ドルもした)を一匹買って帰りました。

そして月曜日はMemorial Dayで国民の休日、3連休でした。Memorial Dayを辞書で調べると、Memorial Day=a legal holiday in the U.S.(the last Monday in May in most States)in memory of dead servicemen of all warsとありました。5月の最終月曜日に位置する、南北戦争以後の戦死者を追悼する「戦没者追悼の日」です。この日は官公庁で半旗がかかげられ、あちこちで軍隊や退役軍人のパレードが行われます。前の日に行ったMontereyでもパレードを行っていました。そして銀行や郵便局などはお休み。我が家はというと、パパはゴルフに行き、私と子供達はお買い物に行きましたが、スーパーは閑散としていました。デパートなどではMemorial Day saleを行っていたので、もしかしたら賑わっていたかもしれません。

そしてこの日を境に本格的な夏のシーズンと呼ばれるようになるのです。

 

いちほ(05/27/02)

 

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